「案件を増やせば月収が上がる」って、なんとなくわかってる。でも実際に何社掛け持ちできるの?管理が追いつかなくなって崩壊しない?——そう思って調べても、きれいな理想論しか出てこない。この記事では、私が実際に3〜5社を同時支援してきた経験をもとに、複数案件時の月収の内訳・スケジュール管理のやり方・やらかした失敗まで、全部数字で話します。
・月収50〜80万円を狙うなら「単価30万円前後×2社」が一番崩壊しにくい構成
・案件を増やすほど「管理コスト」が発生するため、ツールと報告フローの整備が必須
・失敗パターンは「受けすぎ」ではなく「稼働量の見積もりミス」がほとんど
・複数案件で安定するには、受注前の条件チェックリストが命綱になる
あじゃ
セブ島IT留学スクールの運営部長や、Web/営業/マーケティングコンサル正社員を経て、フリーランスへ転身。広告運用・SEO・CRM構築の現場経験から、マーケティングのリアルを発信しています。
フリーランスマーケターの複数案件掛け持ちとは?まず現実から整理する
「複数案件の掛け持ち」がどういう状態なのかを最初に整理しておきます。ふわっとしたままだと、後の話が全部ズレてしまうので。
フリーランスマーケターの仕事は、大きく分けると「広告運用型(Google・Meta広告などを継続的に回す)」「コンサル型(戦略立案・レポーティング・MTGが中心)」「実務代行型(コンテンツ制作・LP改善・メール配信などの作業)」の3種類があります。掛け持ちのしやすさは、この種類によって全然違います。
私が今メインでやっている広告運用は、慣れてくると「監視・調整・報告」のルーティンができあがるので、1社あたりの稼働時間が圧縮しやすいというメリットがあります。一方で、コンサル型はクライアントごとに課題が異なるので、思考コストが高くて案件数を増やしにくい傾向があります。
私の月収内訳を全部公開する【3社掛け持ち時・5社掛け持ち時】
理論より数字を見た方が早いので、実際の月収構成をそのまま公開します。恥ずかしいけれど、これが一番参考になると思って。
3社掛け持ち時(月収約65万円)
フリーランス2年目に安定してきたころの構成です。
- EC系クライアントのGoogle・Meta広告運用:月額30万円(稼働約40時間/月)
- SaaS企業のSEOコンサル・レポーティング:月額20万円(稼働約25時間/月)
- 中小企業のWeb改善アドバイザリー:月額15万円(稼働約15時間/月)
合計稼働時間は約80時間/月。週20時間ほどで65万円なので、時給換算すると約8,100円です。この構成が、精神的にも体力的にも一番バランスが良かったです。MTGの数も週4〜5本に収まっていて、自分の作業時間もしっかり確保できていました。
5社掛け持ち時(月収約95万円→実質しんどくて崩壊気味)
「もう少し稼げるかな」と欲を出して2社追加したときの話です。
- EC系クライアントのGoogle・Meta広告運用:月額30万円
- SaaS企業のSEOコンサル:月額20万円
- 中小企業のWebアドバイザリー:月額15万円
- D2Cブランドの広告運用:月額18万円(新規)
- メディア運営会社のSEO支援:月額12万円(新規)
表面上の月収は95万円になりました。でも稼働時間は約140時間/月に膨らんで、時給換算は約6,800円に落ちました。数字だけ見ると「増えた」のに、時給が下がっていたんです。これに気づいたのは3ヶ月後でした。
月収50・70・100万円ラインの現実的な案件構成
「自分はどのくらい稼げそうか」を判断するために、月収別の現実的な構成を整理しました。これは私の経験と、周りのフリーランスマーケター仲間の話を合わせてまとめたものです。
月収50万円ライン:2社構成が安定
- メイン案件(広告運用orコンサル):月額30〜35万円
- サブ案件(実務代行orスポット支援):月額15〜20万円
フリーランス1年目〜2年目のうちは、この2社構成がおすすめです。1社だけだと収入が不安定になりやすく、3社以上だと管理が崩れやすい。2社が「安全弁」になります。
月収70万円ライン:2〜3社でユニット単価を上げる
- メイン案件(広告運用):月額35〜40万円
- サブ案件A(コンサル):月額20万円
- サブ案件B(スポット):月額10〜15万円(不定期)
ここから先は「案件を増やす」より「単価を上げる」ほうが効率的です。月額30万円の案件を1本持つより、月額20万円の案件を2本持つ方が管理コストは高くなります。
月収100万円ライン:単価40万円以上の案件が軸になる
月収100万円を超えるフリーランスマーケターの多くは、案件を5本以上持っているのではなく、高単価案件2〜3本に絞っています。私の周りを見ても、月100万円超の人の構成はだいたいこんな感じです。
- 大手〜中堅企業の広告運用(予算規模が大きい):月額50〜60万円
- 戦略コンサル(役員MTG含む):月額30〜40万円
- 顧問的なアドバイザリー:月額10〜20万円
この領域に入るには「広告費1,000万円以上の運用実績」「ROI改善の実績数字」など、単価交渉できる根拠が必要になります。スキルより「実績の言語化」が勝負になる世界です。
複数案件の管理を崩壊させないために私がやっていること
複数案件を掛け持ちするとき、一番怖いのは「抜け漏れ」です。クライアントが複数になると、どこに何を報告して、何の作業がいつまでにあるか、管理しないと本当に崩れます。ここでは私が実際に使っている仕組みを紹介します。
①案件ごとのダッシュボードを1枚のスプレッドシートに集約する
私はGoogle Workspaceのスプレッドシートで「案件管理マスター」を1枚作っています。縦軸にクライアント名、横軸に「月額単価・契約期間・稼働時間上限・MTG曜日・報告締め切り・担当窓口」を並べています。
このシートを見れば「今月の稼働がどこに何時間あるか」が一目でわかる状態にするのが目的です。頭の中で管理しようとすると必ず漏れます。
②タスク管理はNotionで「クライアント別」ではなく「締め切り順」で並べる
Notionをタスク管理に使っています。ポイントは「クライアントA・B・C」という分け方ではなく、「今週・来週・今月中」という締め切り軸で並べること。クライアントで分けると、複数案件をまたいだ優先度が見えなくなります。
③週次でカレンダーブロッキングを必ずやる
毎週月曜の朝に30分だけ、カレンダーブロッキング(作業する時間帯をカレンダーに先に確保すること)をやっています。MTGの予定が入ったあとに、「この日はこのクライアントの作業」と色分けして入れておくと、「今日何をやればいいかわからない」という状態がなくなります。
私がやらかした失敗と、そこからの立て直し方
うまくいった話だけでは不誠実なので、実際にやらかした話も正直に書きます。同じ轍を踏まないために参考にしてください。
失敗①:稼働時間の上限を決めずに受注した
フリーランス1年目のころ、「月額15万円でSNS運用をお願いしたい」という依頼を受けました。内容を聞くと「投稿案の作成・承認対応・分析レポート」とのことで、「これくらいなら大丈夫」と思って受けたんです。
ところが始まってみると、承認フローが毎回3〜4往復かかり、クライアントの担当者がこまめにチャットで質問を送ってくる。気づいたら1ヶ月で50時間以上使っていて、時給換算が3,000円を切っていました。15万円の案件なのに。
立て直し方:翌月の契約更新のタイミングで「稼働時間の上限20時間、超過分は時間単価でご請求」という条件に変更してもらいました。正直に「このままだと品質が維持できない」と伝えたら、すんなり了承してもらえました。
失敗②:同じ業界の競合クライアントを同時に受けてしまった
EC系のクライアントを2社掛け持ちしていたとき、後から入ったクライアントが実は前のクライアントと直接競合していることが判明しました。利益相反(りえきそうはん)、つまり一方を有利にすると他方に不利になる状況になってしまったんです。
結果として、後から受けたクライアントにお断りして契約を解除しました。金銭的なペナルティはありませんでしたが、信頼を損なうことになって本当に反省しました。
立て直し方:それ以降は受注前に「同業他社・競合クライアントとの重複確認」をリストに入れるようにしました。
失敗③:売上は増えたのに手元のお金が増えない時期があった
案件が増えて月収が60万円を超えたころ、なぜか手元の残金が増えないという謎の現象が起きました。原因は確定申告の予定納税(前払い式の税金)と、外注費の支払いが重なったこと。予定納税とは、前年の税額をもとに今年の税金を先払いする制度で、フリーランスになると突然やってきます。
立て直し方:freee会計を使って毎月の税引き後シミュレーションを出すようにしました。「今月の売上65万円のうち、手元に残るのは実質42万円」という感覚を持てるようになってから、精神的に安定しました。
複数案件を受ける前に必ず確認したいチェックリスト
失敗経験をもとに作った、受注前の確認リストです。これを使うようになってから、「受けてから後悔する」案件がほぼゼロになりました。
- 月の稼働時間の上限を明記しているか(例:20時間/月まで)
- 超過時間の単価・請求方法を合意しているか
- 既存クライアントと競合・利益相反がないか
- 担当窓口は何人か・レスポンスの目安を合意しているか
- 報告頻度・フォーマットを事前に確認しているか
- 契約形態(準委任・請負・顧問)と免責範囲を確認しているか
- 支払いサイト(翌月末払い等)と自分のキャッシュフローがずれないか
この7項目を全部確認してから受注するだけで、後から「こんなはずじゃなかった」というトラブルが激減します。面倒に感じるかもしれませんが、1案件ずれると他の案件まで影響するのが掛け持ちの怖いところなので、受注前の確認は絶対に省かないようにしています。
複数案件で月収を安定させるために意識していること
最後に、「複数案件の掛け持ちを長期的に続けるためのコツ」をまとめます。月収を上げることより、それを維持することの方が実は難しいので。
収入の柱を「月額継続案件」で固める
スポット案件(単発の依頼)は単価が高いこともありますが、毎月必ず入るわけではありません。月収の7割以上を「毎月継続して入る案件」で固めることが、精神的・経営的な安定の基本です。スポットはあくまでプラスアルファという位置づけで受けています。
「解約リスク」を常に1案件分想定しておく
どんなに良好な関係のクライアントでも、予算カットや担当者交代で急に契約終了になることがあります。私は「今1社が抜けても生活が回るか」を常にチェックするようにしています。3社で月60万円なら、1社20万円が抜けても40万円残る——この状態を「安全ライン」として意識しています。
定期的に「時給」を計算し直す
月収の金額だけ見ていると、気づかないうちに時給が下がっていることがあります(私もそれで失敗しました)。月に一度、「今月の合計売上 ÷ 合計稼働時間」を計算する習慣をつけると、どの案件が効率的でどの案件がコストを食っているかが見えてきます。
まとめ:複数案件の掛け持ちで月収を上げるための現実的な道筋
- 月収50万円なら2社構成が最も安定しやすく、崩壊リスクが低い
- 案件を増やすより「単価を上げる」ほうが時給効率は改善しやすい
- 複数案件の管理にはスプレッドシート・Notion・カレンダーブロッキングの3点セットが効く
- 受注前の7項目チェックリストで「受けてから後悔する案件」を防げる
- 月収の数字だけでなく「時給」を月次で計算し直すことが、健全な掛け持ちを続ける鍵
複数案件の掛け持ちは「やみくもに増やす」のではなく、稼働の上限を設計して、管理の仕組みを先に作ってから受けるのが正解です。まずは今の案件の時給を計算してみるところから始めてみてください。数字が見えると、次に何をすべきかが自然と見えてきます。

