「海外で働きたいけど、TOEICって何点あればいいの?」——この疑問、すごくリアルですよね。私自身、フィリピン・セブ島でIT留学スクールの運営部長をしていた経験があり、現地採用やグローバル採用の現場を間近で見てきました。この記事では、TOEIC何点で海外就職のどんな求人が狙えるのかを、数字と実体験ベースで正直にお伝えします。
・TOEICスコアはあくまで「足切りライン」であり、スコアだけでは内定は取れない
・英語力より「専門スキル×英語」の組み合わせが海外採用の現実的な突破口
・スコアが足りなくても、国や職種の選び方で戦略は変えられる
あじゃ
セブ島IT留学スクールの運営部長や、Web/営業/マーケティングコンサル正社員を経て、フリーランスへ転身。広告運用・SEO・CRM構築の現場経験から、マーケティングのリアルを発信しています。
海外就職でTOEICが求められる理由とその役割
まずここを整理しておかないと、「スコアが足りた・足りない」の議論がズレます。TOEICは海外就職においてどんな役割を持っているのか、最初に押さえておきましょう。
TOEIC(Test of English for International Communication)は、日常・ビジネス場面での英語コミュニケーション能力を測るテストです。リスニングとリーディングの合計990点満点で評価されます。海外採用の現場では、このスコアが「最低限の英語力の証明」として機能しています。
私がセブ島で運営していたスクールには、海外就職を目指して英語を学びに来る日本人が多くいました。採用側の企業と話す機会も多かったのですが、TOEICスコアは「会話できるかどうか」を直接測るものではなく、あくまで書類選考での足切り基準として使われることがほとんどでした。面接に進めるかどうかを判断するふるい、というイメージです。
スコア別に見る!海外就職で狙える求人の現実
「何点あれば大丈夫?」という疑問への答えは、職種と国によって変わります。ただ、現場感覚で言うと3つのゾーンに分けて考えると非常にわかりやすいです。
600点未満:海外就職は正直かなり厳しい
600点を下回るスコアだと、多くの海外求人の書類選考でそもそも通過できません。TOEICの平均点が日本全体で約600点前後(IPテストベース)であることを考えると、これは「英語を使って働く」基準としては明らかに不足しています。
ただ、例外として現地採用の日系企業で、日本語対応を主な業務とするポジション(日本人観光客向けサービス・日本語サポートスタッフなど)であれば、英語力よりも日本語ネイティブであることが優先されるケースもあります。東南アジアの観光業などがその典型です。
600〜730点:東南アジアの現地採用・日系企業なら射程圏内
このゾーンに入ると、東南アジア(タイ・フィリピン・ベトナムなど)の日系企業への現地採用を狙えるようになります。私がセブ島にいたとき、このスコア帯で現地採用に成功した日本人はかなり多くいました。
ただし、このゾーンで注意したいのは「英語が得意」とは言えない状態であること。リーディングはなんとかなるけれど、ビジネスの場で即興でスピーキングやリスニングを求められると詰まる……という人がほとんどです。現地採用で入っても、実務の英語コミュニケーションについていくのに最初の3〜6ヶ月はかなりしんどい、という声を何人からも聞きました。
730〜800点:グローバル企業・欧米系企業の書類選考を通過できる
730点は、多くの日本の大手グローバル企業が「海外勤務の基準スコア」として設定していることが多い数字です。外資系や欧米系企業の書類選考では、このラインを一つの目安にしているケースが多く見られます。
海外のオフィスで外国人と日常的に英語を使って働く、というイメージに最初にたどり着けるゾーンと思ってください。ただし、730点は「入口」であって「十分」ではありません。特に、マーケティング・営業・マネジメント系のポジションでは、スピーキングや交渉力の実力がより重視されます。
800点以上:欧米・シンガポールの優良ポジションで勝負できる
800点を超えると、選択肢が一気に広がります。シンガポール・香港・欧米のグローバル企業で、英語を主言語として完全に使いこなすことを前提としたポジションを狙えるようになります。
特にシンガポールでは、就労ビザ(EP:Employment Pass)の取得審査でも英語力と年収が重要視されるため、800点以上のスコアを持っていると採用企業側にとっても申請がしやすくなる、という間接的なメリットもあります。
- 600点未満:海外就職は限定的なポジションのみ
- 600〜730点:東南アジアの日系企業・現地採用が射程圏
- 730〜800点:グローバル企業・外資系の書類選考を通過できる
- 800点以上:欧米・シンガポールの優良ポジションで本格的に勝負できる
職種別:必要なTOEICスコアの目安
スコアの目安は「何点取るか」だけでなく、「どの職種で働くか」によっても変わります。職種ごとの現実的なラインを整理しました。
ITエンジニア・プログラマー:600〜730点でも十分なケースあり
エンジニア職はコードという共通言語があるため、英語力よりも技術力が優先されることが多いです。GitHubでのコミュニケーションやドキュメント読解が中心で、リアルタイムのスピーキングが求められる場面は他職種より少ない傾向にあります。
そのため、600〜700点のスコアでも、GitHubの実績やポートフォリオが充実していれば採用される事例は珍しくありません。私が支援している企業でも、エンジニア採用ではTOEICより技術面接の結果を重視しているケースがほとんどです。
営業・マーケティング・コンサル:730〜800点以上が現実的なライン
クライアントとの交渉・プレゼン・メール対応など、英語でのコミュニケーションが業務の中心になる職種です。スコアだけでなく、実際に英語で話して伝えられる力が採用の分かれ目になります。730点を下回っていると書類で落とされるリスクが高く、800点以上あっても面接で英語力を試されます。
事務・アシスタント・カスタマーサポート:職種・国により600点台でも可
東南アジアの日系企業や、日本人向けサービスを提供する企業の事務・サポート職であれば、600点台でも採用実績があります。ただし、年収水準は現地給与ベースになることがほとんどで、日本の平均と比べると低いケースが多いのも現実です。
マネジメント・管理職:800点以上+スピーキング実力が必須
チームをまとめる・多国籍メンバーとプロジェクトを動かす・経営層に英語でプレゼンする、といったポジションでは、スコアは「最低限800点以上」でかつ実際のスピーキング能力が問われます。TOEICスコアが高くても、面接で英語の会話が成立しなければ即アウトというのが正直なところです。
TOEICスコアだけでは海外就職できない「本当の理由」
ここが一番伝えたい部分です。「スコアが高ければ海外で働ける」という思い込みは、実際の採用現場を見ていると大きなズレがあります。
TOEICはリスニングとリーディングのみを測るテストです。つまり、スピーキングとライティングの実力はTOEICのスコアには一切反映されません。海外の職場で日々求められるのは、メールを書く・会議で発言する・交渉するといった「アウトプット」の英語力です。
私がセブ島のスクールで見ていたケースで、TOEICが800点超えなのに英語面接で全く話せず不採用になった日本人が何人もいました。反対に、TOEIC700点台でも「伝えようとする積極性」と「専門スキル」の組み合わせで内定を勝ち取った人もいます。採用する側は結局、「一緒に働けるかどうか」を見ています。
スコアを上げながら実践力も鍛える:私が実際に見てきた効果的な方法
「じゃあ何をすればいいの?」という話です。スコアと実践力を同時に伸ばすために、現場で効果が出ていたアプローチを正直に紹介します。
TOEIC対策は「公式問題集」が最もコスパが高い
スコアを上げることだけを目的にするなら、試験形式に慣れることが最短ルートです。IIBC(国際ビジネスコミュニケーション協会)が出版している公式問題集は、本番と最も近い形式で練習できるため、他の教材より確実に実力が測れます。私の周りで短期間にスコアを伸ばした人は、ほぼ全員これを繰り返し解いていました。
スピーキングはオンライン英会話で毎日25分が現実的
スコアと同時にスピーキングを伸ばすなら、毎日短時間でいいから話す機会を作ることが一番効きます。週1回の英会話スクールより、毎日25分のオンライン英会話のほうが圧倒的に効果が出やすいです。
レアジョブ英会話やネイティブキャンプは、月額料金で毎日レッスンが受けられるため、コストを抑えながら話す習慣を作るのに向いています。フィリピン人講師が多く、私がセブ島にいたときに一緒に働いていたスタッフと同じようなナチュラルな英語が学べます。
英語履歴書・職務経歴書は書き方から学ぶ必要がある
海外就職を目指すなら、英語の履歴書(Resume・CV)を作る必要があります。日本式の職務経歴書とフォーマットが全く異なるため、LinkedInのプロフィール作成を練習がわりに使うのが実用的です。LinkedInは海外採用のプラットフォームとしても機能しており、プロフィールを整えるだけでスカウトが来ることもあります。
国別の目安:行きたい国で必要スコアは変わる
海外就職といっても、行き先によって英語力の求められ方はかなり違います。主要な国・地域別に現実的な目安をまとめました。
東南アジア(タイ・ベトナム・フィリピン・マレーシアなど)
日系企業が多く、比較的ハードルが低いエリアです。600〜700点台でも挑戦できる求人が多く、海外就職の最初のステップとして選ぶ人が多い地域です。ただし、現地給与水準で採用されるケースが多いため、年収は日本より下がることがほとんどです。
シンガポール・香港
英語が公用語のビジネス拠点であり、グローバル企業のアジア本社が集中するエリアです。730〜800点以上が現実的な最低ラインで、スピーキング・ライティングの実力も同時に問われます。年収水準は高いですが、競争も激しく、専門スキルがないと採用は難しいです。
欧米(アメリカ・イギリス・カナダ・オーストラリアなど)
英語がネイティブレベルで要求される環境です。TOEICのスコアよりも、IELTS(国際英語試験システム)やTOEFL(英語能力テスト)のスコアが求められるケースが多いため、欧米就職を目指す場合はTOEICだけでなく他の英語試験も視野に入れる必要があります。IELTSは6.5〜7.0以上が一般的な就労ビザの目安とされています。
よくある失敗:スコアを上げることが目的になってしまう罠
これは私がセブ島で本当によく見た失敗パターンです。最後に、リアルな注意点として伝えておきます。
海外就職を目指して勉強を始めると、気づくとTOEICのスコアアップが目的になってしまう人がいます。TOEIC対策ばかりに時間を費やして、スピーキングや専門スキルの強化がおろそかになる——これは本末転倒です。
「どの職種・どの国・どんな企業で働きたいか」を先に決めて、必要なスコアと実践力を逆算して準備するのが正しい順番です。目標が曖昧なままスコアを積み上げても、採用の場では活かせません。
- 行きたい国・職種・企業を先に決める
- その求人に必要なTOEICスコアを調べる
- スコアと並行してスピーキング・専門スキルを鍛える
- LinkedInや海外求人サイトで実際の求人を見て、リアルな要件を確認する
- 英語の履歴書・面接対策を早めに始める
まとめ:TOEIC何点必要かより「何と組み合わせるか」が大事
海外就職に必要なTOEICスコアの目安と、現場で見えてきたリアルをまとめます。
- 東南アジアの現地採用を狙うなら600〜730点がひとつの目安
- グローバル企業・外資系の書類選考を通過するには730〜800点が現実的なライン
- 欧米・シンガポールの優良ポジションを本気で狙うなら800点以上+IELTSも検討
- TOEICはあくまで「入場券」。スピーキングと専門スキルを同時に鍛えることが海外内定への近道
- 行きたい国・職種を先に決めて、必要なスコアを逆算するのが最も効率的な準備方法
まずはLinkedInで興味のある海外求人を検索して、実際の要件欄に「どんな英語力が書かれているか」を自分の目で確認してみてください。現実の求人を見ることが、一番の出発点になります。

